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前川 真理子さん

前川 真理子さん

留学先:リーズ大学 University of Leeds
留学分類:大学院留学
専攻名:翻訳 MA Applied Translation Studies
留学期間:2013年8月~2014年9月
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リーズ大学で翻訳を学ぶ 第3回 プロジェクトマネージャー

リーズ大学で翻訳を学ぶ 第3回 プロジェクトマネージャー

Categories: リーズ大学 / 大学院留学 / 通訳・翻訳
夏のプリセッショナル・コースを修了し、MAコースで勉強を開始された前川さん。翻訳コースの一環であるプロジェクトで、マネージャーを務められたそうです。今回は、プロジェクトマネージャーがどういう役割なのかを説明してくださいました。

※以下は、2014年4月にお書きいただいたレポートです。

こんにちは。先週から、イースター休暇になりました。サマータイムも始まり、だんだんと日が長くなってきて、春の訪れを感じます。

プロジェクトとは?

翻訳会社がクライアントから受けた依頼を翻訳し、納品する作業です

前回、時間割について紹介した時に、CAT (Computer Assisted Translation) クラスの説明で少しプロジェクトのお話をしたと思います。プロジェクトとは、翻訳会社がクライアントから翻訳依頼を受け、プロジェクトマネージャーがその翻訳をフリーランサー(この場合は、学生)に振り分け、できあがった翻訳をクライアントに納品するというものです。

50名以上のフリーランサー、9言語を扱うとても大きなプロジェクトでマネージャーを務めました

CATクラスではこのプロジェクトを各セメスターに2回行います。最後の4回目に、私はプロジェクトマネージャー(PM)をしたので、PMがどういう仕事なのかご紹介したいと思います。今回のプロジェクトは、応用翻訳コース、映像翻訳コースとルーマニアの大学の学生とのコラボレーション。合計50人以上のフリーランサーが参加し、翻訳言語の数は9言語と、とても大きなプロジェクトでした。

プロジェクトマネージャーの業務

1. クライアントとの打ち合わせ

ここで、何語から何語に翻訳するのか、ファイルフォーマットの確認、イメージローカリゼーションが必要なのか、納期などを確認します。質問がある場合もここで確認します。プロジェクト中に出てきた質問は随時問い合わせることもできますが、必要最低限におさえた方がいいです。

2. PM打ち合わせ

今回のプロジェクトでは、PMが7人いました。一つの言語の組み合わせで翻訳するファイルがたくさんあったため、それを均等に分割して振り分けました(授業の一環なので、フリーランサーはできるだけ同じ分量を翻訳する必要があったため)。そのほか、スケジュールの作成、メールテンプレートの準備など。

3. レートの確認と見積もりの依頼

まず、フリーランサーに、今回のプロジェクトの概要を伝え(字数や〆切、内容など)、興味があるかどうか確認し、翻訳のレートを教えてもらいます。レートが高い場合は交渉をします。フリーランサーのレートを承諾したら、見積もり書を依頼します。

4. 発注書の発行とクライアントへの見積もり

フリーランサーの見積もりを承諾したら、発注書を作成します。こうして、フリーランサーとの正式な契約が交わされたことになります。次に、見積もりを作成し、クライアントに送ります。見積もりが承諾されたら、クライアントから発注書が発行されます。

5. 翻訳のプロジェクトを作成し、フリーランサーにパッケージを送る

CAT tool(翻訳メモリソフト)を使用するので、翻訳するファイルをCAT toolにインポートします。TM(Translation memory / 翻訳メモリ)とTD(Terminology database / 用語集・単語集)がある場合は、それをプロジェクトに付け足してから、パッケージを作ってフリーランサーに送ります。この時、インポートしたファイルに文字化けがないかなどチェックをします。

6. 質問や技術的な問題が発生した際に対応

7. 最終版の翻訳済ファイルがもどってきたらチェック

エクスポート時に、中国語や日本語、ヨーロッパ言語の特殊文字などは文字化けしたりすることがあるので、そういう点もチェックします。また、エクスポート後のフォーマットもチェックする必要があります。特に、PDFファイルは翻訳者泣かせというくらいフォーマットが変わってしまったりします。翻訳後、CAT toolからターゲットテキストにエクスポートした後に、フォーマットをきれいにするのも翻訳者の仕事ですが、それができていない場合は、PMがしないといけません。もちろん、納期までに余裕があれば、フリーランサーに返して直してもらうこともできます。

8. クライアントに納品

翻訳だけでなく、TMやTDも依頼されていたら、それら全てを納品します。そして、インボイスを送ります。

プロジェクトマネージャーを経験して

以上のほとんどがメールのやり取りで、最初の頃は寝ている間でさえメールが気になって、よく眠れませんでした。授業では、プロジェクト後にPMによるプレゼンがあります。フリーランサーとPMそれぞれの良かった点、改善した方がいい点、技術的な問題点などについて発表します。

フリーランサーとPMを経験したことで、両方の気持ちが分かりました

フリーランサーとPMの両方を経験したことで、それぞれのお互いに対して期待していることが分かりました。仕事の上で、両方の気持ちを理解しているというのは大切だと思います。お互いの仕事を理解することで、お互いにとってどうしたらスムーズに仕事が進められるのかを考えることができますし、思いやりを持って仕事ができます。

翻訳の勉強は、翻訳者になるためだけの手段ではありません

PMは、まさにクライアントとフリーランサーの仲介者です。実際に翻訳をする仕事ではありませんが、コミュニケーションをとったり、マネジメントしたりするのが好きな人には、向いているかもしれません。翻訳を勉強したら翻訳家になる道しかないと思っている人もいるかもしれませんが、PMも一つの道です。PMにとって、翻訳の流れやCAT toolの使い方を知っていることはプラスになりますから、翻訳の勉強も役立ちます。

これから翻訳の勉強を始める方へ

もし、これからMAATS (MA Applied Translation Studies) で勉強しようと考えている人がいれば、入学した際にはぜひ恐がらずにPMを体験してみて下さい。初めてのことでストレスも溜まると思いますが、それ以上の良い経験ができますよ。