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ブラッドフォード大学平和学博士課程<後編>

2009.05.28
beoの留学サポートを利用され、ブラッドフォード大学の博士課程で国際安全保障学について研究をおこなわれている峯畑さん。渡英から約4年が経ち、つい先日には、beoで開催されたブラッドフォード大学のイベントに教授陣に並ぶゲストとして個別相談会やレクチャーにご参加いただきました。
今回はそんな峯畑さんに、留学当初を振り返っていただいてお話をお聞きします。
※<前編><中編><後編>の3部に分けておとどけします

峯畑昌道さん 峯畑 昌道
留学先:ブラッドフォード大学
専攻名:国際安全保障学
留学期間:2005年9月~2009年9月
beoの留学サポート利用して、現在、ブラッドフォード大学の博士課程に留学中

留学を通して得たスキルや体験などで、日本で学んでいては手に入らなかったと思うものを教えてください
研究の最前線に身を置く
ブラッドフォード大学平和学生物兵器禁止条約、生命科学と安全保障といった内容は、その研究拠点自体が世界的に限られておりましたので、まず当該分野を学べるという点が重要であったと考えております。当該分野において、何が最新の情報で、実際にその所在がどこかを知り、その情報・人脈へのアクセスを可能にするのは、やはり、その研究分野の前線において研究を行っている研究機関に属することが重要な要因の一つであると感じました。

広がる人的ネットワーク
なぜそれが重要であるかと申し上げますと、一つの分野において新しい情報にアクセスがあるということは、国内外を問わず、他大学、研究機関、研究会、国際会議に実際に出向く機会を得る可能性が高くなります。そこでの会議、発表、共同研究を通じて、自分の研究には何が(研究内容、情報伝達能力、交渉力、語学力を含め)足りていないのかを随時確認することが可能となります。

そのような情報が国際政策に関連している場合、学術関係者以外の利害当事者(NGO,IGO,国家代表)との接触が増えます。学術的な視点を多層的な利害が交錯する実社会の変動に如何に反映させてゆけるか、変化のためには何が必要かを考察する必要に迫られます。これは「学術」と「実際の安全」を結ぶ意味で重要ではないかと感じております。

留学先で学ばれたことは、卒業後のご自身の今後のキャリアにどのような影響を与ると思いますか?

留学で学んだことは、21世紀において生命科学と安全保障の問題は実際であり、その予防に向けた世界的な努力が緊要であるという一点でございます。その安全の促進と予防の強化に僅かでも貢献できるのであれば、留学中に学んだすべての資源を投入してキャリアを模索したいと考えております。

進学・留学、就職・転職など進路に迷われている方へメッセージをお願いします
一寸先は闇?
上記のごとく奔放に意見を述べてまいりましたが、わたくしの進路に関しまして一寸先は闇であると感じております。これは留学を決めた時からあまり変わっておりません。なるべく新しい経験を継続的に模索した結果、先の予測が難しい生活が続いているのかもしれません。さらに、そうしたからといって私の留学経験がこの先、わたくしの望む方向で実を結ぶかどうか、それを保障するものでは全くありません。

ブラッドフォード大学平和学急速な世界の変動
ただ、チャンスがある限り、そのような模索を継続するという点に関して迷いはございません。それは、もう一つ留学を決めたときから変わらない認識があるためです。

相変わらず世界の変動は異常に早く、未だその変動の歪で非平和的な経験をする人口は多く、脅威の予防に使える資源は枯渇しています。このような環境に貢献をおこなうかどうか、そう迷えることは我々の選択の問題ですが、非平和的な経験をしている人口はそのような選択権を持たないという現実がございます。


迷っている時間は無い
ここから先はもはや我々個々人の生活スタイル、価値観、もしくはdignityの問題であると理解しております。分野や規模を問わず、個人の生活を通じ何か少しでも愛の増進に寄与する機会があるのであれば、関心があるのであれば、進学・留学、就職・転職に迷っている時間は無いと理解しております。激動する世界は、我々が迷っていることを考慮してくれるとは到底思えません。一寸先の暗闇に是非とも邁進して頂きたいと考えております。そのような生活が劇的に楽しいことは現在確認しております。

ブラッドフォード大学平和学博士課程<後編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<中編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<前編>

★ブラッドフォード大学日本語ホームページ
★★峯畑さんが参加された平和学の体験レクチャーの模様はこちら
投稿者: 日時: 13:17

ブラッドフォード大学平和学博士課程<中編>

2009.05.27
beoの留学サポートを利用され、ブラッドフォード大学の博士課程で国際安全保障学について研究をおこなわれている峯畑さん。渡英から約4年が経ち、つい先日には、beoで開催されたブラッドフォード大学のイベントに教授陣に並ぶゲストとして個別相談会やレクチャーにご参加いただきました。
今回はそんな峯畑さんに、留学当初を振り返っていただいてお話をお聞きします。
※<前編><中編><後編>の3部に分けておとどけします

峯畑昌道さん 峯畑 昌道
留学先:ブラッドフォード大学
専攻名:国際安全保障学
留学期間:2005年9月~2009年9月
beoの留学サポート利用して、現在、ブラッドフォード大学の博士課程に留学中

ブラッドフォード大学修士課程での様子について教えてください
教授陣は、広い研究領域の各分野において著名な学者が学部に所属しており、学生への知識の伝達、研究活動のサポートの両面において質の高い環境を用意しています。授業形式は、一講義につき一つのセミナーが予定されており、知識の獲得と、意見の交換がバランスよく行えます。

30を超える国から学生が集まる
修士課程は、毎年100名程度の学生が30を超える国から集まっています。学部卒業直後の20代や定年退職後の60代を含む幅の広い年齢層から、また自然科学や社会科学といった異なる学術バックグラウンドから、さらに市民活動や国家政策といった経験の違いをもった学生が、一つの学術コースで机を並べ議論ができる環境は、世界問題を考える際大変有益であったと感じております。

博士課程へ進まれた理由について教えてください
分析的視点、解答提示能力を磨くために
修士課程を通じ、研究の関心事が、生命科学分野における安全保障上の脅威とその予防のための国際的枠組みの強化、に収斂いたしました。また、当該分野への理解を深めることを超えて、現実世界における個別具体的な政策、活動を妥当なものにするための洗練された視点の提示が非常に重要であると実感いたしました。 

同時に、自分にはそのための情報資源、分析的視点、そして解答提示能力が欠けていることも実感いたしました。包括的にそのような研究資質・方法論を習得する必要性を感じ、そのためのトレーニングを受けるため博士課程への進路を決定いたしました。

修士課程の頃との違いは?
学術的・実際的な妥当性を伴わせた独創性
修士課程はMasters と呼ばれるように、学術的に、ある特定の社会問題を理解し、そして当該問題を説明する現存の文献を基に自己の見識をまとめる・マスターするといった目的があると考えられます。一方、平和学における博士課程は既存の文献を通じた社会問題の理解を超えて、現在起こっている社会現象の理解の方法、情報入手の方法、情報分析の方法を哲学し、当該問題に変化をもたらすための独自の見解、指針、もしくは解決案を提示することが一つの重要な目的であると考えられます。

ブラッドフォード大学平和学博士課程の研究においてはその独創性が重要視されるので、研究方法に関する学生の裁量が大きいのは事実ですが、これは思いつきの発言が受け入れられるということを意味せず、自由に行われたその研究が学術的・実際的な妥当性を同時に有していることが重要とされます。

実際には、後者の評価は学生個人の判断では難しく、現在特定研究分野でどのような新しい研究がなされ、議論され、そして実際に使われているのかどうか、その妥当性の判断を仰げるのが指導教授です。

したがって、指導教授が実際に各研究分野で、理想的には当該分野の前線において、研究活動もしくは政策立案を行われている場合が望ましいと考えられます。

研究プロジェクトの内容について教えてください
2つのプロジェクト
現在は平和学部内に開設されている5つの研究所の一つ、ブラッドフォード軍縮研究所に在籍しております。
研究テーマは2つございます。
第一は、私個人の博士課程「冷戦後外交:生物兵器禁止条約の進化と日本の政策」です。
それと平行する形で、第二に、英国首相イニシアチブ(英国文化振興会)の下、本軍縮研究所における私の指導教授二人と共に、防衛医科大学校(日本)と共同研究を行っております。

今夏に生物兵器禁止条約会議にて発表予定
この防衛医科大学校との協同研究におけるプロジェクトでは、生物兵器禁止条約を基に「生命科学者のための安全保障倫理教育」を実施・推進しております。現在は日本における生命安全保障教育の現状調査を実施し、報告書をまとめました。来る2009年8月、国連における本条約会議においてその発表を予定しております。また、本プロジェクトによって開発途中の生命科学者用の教材も12月の条約会議において締約諸国に完成披露・その後一般公開を計画しております。

ジュネーブ会議に参加されたきっかけ、参加された感想を教えてください
現場=条約交渉現場
私の研究の場合、いわゆる現場というのは条約の交渉現場になります。ジュネーブはこれまで2005年冬、2006年冬、2009年春、合計3回、約3ヶ月滞在いたしました。国連機関もしくは関連財団に在籍し、関係機関に生物兵器禁止条約の交渉過程を報告いたしました。これは同時に博士課程研究、もしくは日英共同研究用の情報収集という目的がございました。

ブラッドフォード大学平和学会議への参加により、締約国による実際の国益をかけた交渉現場を確認することができました。

条約強化という絶望的アート
国際安全保障の学術的言説が、如何に実際の条約強化に資するものになり得るのか、そのような研究分野に足を踏み入れたのだという心構えをする上で、特に初回の参加は重要であったと記憶しています。国際政策の形成・発展過程が時事的な国内・国際情勢に大きく左右され、条約の強化は、非常に多くの環境要因が必要とされる絶望的なアートであると認識させられました。

しかしながら、国家代表団、NGO、科学者そして学術研究者が、継続的に正当性を担保しつつ政策を議論する必要があり、そのためにはやはり公式な枠組みを基に生命安全保障を強化してゆく必要があることを現在でも実感しております。

ブラッドフォード大学平和学博士課程<後編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<中編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<前編>

★ブラッドフォード大学日本語ホームページ
★★峯畑さんが参加された平和学の体験レクチャーの模様はこちら
投稿者: 日時: 13:02

ブラッドフォード大学平和学博士課程<前編>

2009.05.26
beoの留学サポートを利用され、ブラッドフォード大学の博士課程で国際安全保障学について研究をおこなわれている峯畑さん。渡英から約4年が経ち、つい先日には、beoで開催されたブラッドフォード大学のイベントに教授陣に並ぶゲストとして個別相談会やレクチャーにご参加いただきました。
今回はそんな峯畑さんに、留学当初を振り返っていただいてお話をお聞きします。
※<前編><中編><後編>の3部に分けておとどけします

峯畑昌道さん 峯畑 昌道
留学先:ブラッドフォード大学
専攻名:国際安全保障学
留学期間:2005年9月~2009年9月
beoの留学サポート利用して、現在、ブラッドフォード大学の博士課程に留学中

留学を決意されたきっかけを教えてください
アメリカ世界同時多発テロ9・11に遭遇
日本での学部生時代は国際安全保障に漠然とした関心を持っておりましたが、アメリカ留学中に経験した2001年9月11日世界同時多発テロがその漠然と抱いていた雑多な関心事を一本の線で結び、留学への直接的な道筋をつけたと記憶しております。ここで雑多と申し上げる関心事は4点ございました。
  1. テロの脅威
  2. グローバル化する世界における国家の中心性
  3. 科学技術の不正利用
  4. グローバルイシューを抱合しうる安全保障の枠組の検討
1. テロの脅威
1点目は、航空機を使用した世界貿易センタービルへの破壊、また(テロの疑いのある)炭素菌送付という劇場型の暴力行為により、政治・経済・安全保障上の深刻な脅威を非国家主体が与えうることを再確認いたしました。テロの懸念が世界的に伝播しうる情報源、ネットワークを媒介した非国家主体による脅威であった点が、グローバル化が加速する冷戦後安全保障問題の顕在例として特に印象深かったと記憶しています。

2. グローバル化する世界における国家の中心性
2点目は、多国籍企業、IGO、NGOの役割が相対的に増大しているという言説が多く見受けられた冷戦後の国際社会において、安全保障に関しては、依然決定的な影響力を行使する国家の中心性です。

ブラッドフォード大学平和学テロの脅威を確認した後の国家安全保障政策の決定速度、深度、そしてテロとの戦争への加熱度は、アメリカという外国に身を置く一学生としては、それもまた、脅威「的」であり、個人の存在を極小化し社会を止まらない方向へ動員する時代の流れ、その渦中に身を置く悪寒というものを覚えた記憶がございます。

後に、上述した炭素菌テロに関しては、テロで使用されたと考えられていた炭素菌の出所が、米陸軍関連の研究所であると米FBIに懸念され、生物安全保障の脅威認識の文脈に少なからず波紋を投げかけています。

3. 科学技術の不正利用
3点目は、科学の不正利用です。世界同時多発テロで使用された手段は民間旅客機、そしてテロの懸念がもたれた炭素菌でした。前者は航空力学、後者は生物学というように、本来は平和利用を目的に発展した科学知識・技術であることが確認できます。国家による核兵器と核エネルギー使用の関係を安全保障の問題として学習していたことから、9・11を通じて再認識させられたことは次の点です。"それぞれの時代において、当該科学分野が最先端であればあるほど、普及の度合いが高ければ高いほど、科学技術はその不正利用の潜在的脅威を伴っている可能性がある。"

4. グローバルイシューを抱合しうる安全保障の枠組の検討
上記3点を踏まえ、4点目は、冷戦後の世界安全保障における非伝統的な脅威を射程に入れ、国家の理性・中心性を保ちつつ非国家主体との共治により、テロと国家の両者による最先端科学技術の悪用を予防するため安全保障上の枠組みを検討する必要があると考えました。これを検討するためには、異なる分野の観点から問題を説明し、その解決案を考察する学問を学べることが望ましいと考えました。平和学は広い学問分野を横断的に利用する、学際的なアプローチを取るということを知り、それが一つのヒントになりました。私が学部生であった当時、日本ではそのような学習環境が少ないという印象を持ち、留学を決めました。

ブラッドフォード大学を選ばれた理由を教えてください
社会科学と自然科学の両面からのアプローチ
上記で述べましたように、非常に漠然とした関心を持っておりましたので、まず、戦争と平和に関して異なる分野の専門家をなるべく多く抱えている大学が望ましいと考えました。

私の場合は特に、国際安全保障、国際法、軍縮・軍備管理を社会科学分野において、
同時に科学技術の進歩を環境、国際公衆衛生そして安全保障の観点から考察する自然科学分野の視点も学べれば理想的であると考えました。

そのような関心に近い研究を行われている教授がなるべく多く在籍している大学を希望いたしました。グローバルガバナンス、テロ、環境、核兵器といった広い分野の研究を行っているブラッドフォード大学教授の文献を講読する勉強会に日本で参加したことを機会に、本大学を選びました。

beoの留学サポートを利用された感想を教えてください
出願準備を始めたのが遅かったものの無事留学を実現
とにかく大きなご支援を頂戴いたしました。出願が遅い時期になってしまい、手続き準備が間に合うか非常に不安でございました。しかしながら、そのような事情を汲み取り、可能な限り柔軟に、そして何より迅速に対応していただきました。バックグラウンドの異なる多くの出願者を輩出された経験の賜物であると理解いたしました。

ブラッドフォード大学平和学博士課程<後編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<中編>
ブラッドフォード大学平和学博士課程<前編>

★ブラッドフォード大学日本語ホームページ
★★峯畑さんが参加された平和学の体験レクチャーの模様はこちら
投稿者: 日時: 09:52