アングリア・ラスキン大学

東郷 なりささん

東郷 なりささん

留学先:アングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin University
留学分類:大学院留学
専攻名:チルドレンズ・ブック・イラストレーション MA Children's Book illustration
留学期間:2010年9月〜2012年1月
beoの留学サポートを利用して留学。個人ブログ「クイナ通りSoi17」では作品を随時更新中

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

Categories: アングリア・ラスキン大学 / アート&デザイン / 大学院留学

優秀な人材を輩出し続けるアングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin Universityのチルドレンズ・ブック・イラストレーション Children's Book illustration。同コースを卒業した日本人学生の中には、ニューヨーク・タイムズが選ぶ児童文学イラストベスト10に選ばれた方もいます。同コースに留学中の東郷さんの現地レポートをお届けします。


いよいよ卒業展

コースの最後を飾る一大行事であるロンドンでの卒業展が無事に終わった。会場はSoho地区にある本屋、Foylesの最上階にある小さなギャラリーを借りた。事前準備はすべて個人ベースで行っていたので、誰がどの区画をもらうかなどは、搬入日にその場でそれぞれの学生が持ち寄った展示物を元に決めた。

わたしたちのグループは自己主張、競争心の強くない人が多く、教授の判断に任せてすんなりと収まり、去年とは大違い‥‥‥とのことだった(!) ただ事前に知らされていたより個々の展示スペースが小さかったので、持ち寄ったものがうまく空間内に収まらず頭を悩ませた。でも最終的には、わたし個人のパネルスペースとしても、部屋全体としても、調和のとれた空間ができ、とても満足している。

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わたしの展示スペース

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チューターのアドバイスを聞きながら、みんなで助け合って展示レイアウトを決めた

展示のメインは、拡大印刷した本のページを発泡スチロールの板に貼り付けたパネル、そして人によっては額装した原画だ。そしてその下に棚を取り付けてダミーブックやポートフォリオ、コメント帳などを配置した。パネルだけを見て回る分にはささやかな展示だけれど、それぞれの棚にある絵本を読み、作品集を見ようと思うと、とても数時間は見きれない量の展示物になった。

わたしは展覧会の当番をした日に端から順番にじっくり見ていき、1日かけてようやく全員の作品におよそ目を通すことができた。クラスメイトの作品も、スタジオ内やブログ、フェイスブックを通してイラスト自体は見ていても、絵本としてまとまった状態で目にするのは初めてだった。絵本のイラストはページをめくるという動作の中で効果があるもの、文章と一緒になると活きてくるものなのでとても新鮮だった。

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ギャラリー風景

出版関係者を招いての内覧会は、絵本作家としてのスタートライン

3日目の夜に出版関係の編集者などを招いた内覧会を開いた。教授によれば、昨年以上に多くの人が来てくれたようだ。ただでさえ小さな会場はごった返していた。ビジネスの場になるのではないかとみんなで緊張していたが、どちらかというとリラックスしたおしゃべりパーティーでちょっと拍子抜けした。

先輩は、内覧会ではひとことも編集者と話さなかったけれど、展覧会の3週間後に出版社から連絡をもらったというし、6ヶ月してから電話が掛かってきた人もいるらしい。この卒業展は、修士のコースとしてはエンディングだが、絵本作家としてはスタートラインだ。

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内覧会に人が集まりはじめた

家族と友達の日

土曜日は、「家族と友達の日」としてそれぞれの友達を呼びみんなで集まった。ロンドンにいるわたしの知り合いは一家総出で来てくれたし、アメリカからホスト・グランドマザーまで飛んで来てくれ、とてもうれしかった。クラスメイトとお互いの作品について話をする機会にもなり、留学生活の中でも思い出の1日になった。

卒業展を終えて

卒業展に向けてひたすら走り続けてきたので、その目標を越えたいま、少々気が抜けてしまった。これから少しずつ、出版社にコンタクトを取っていかなければならない。ただでさえ自分の作品の売り込みをするのは難しいのに英語というのは気が重たいが、少なくともあと数ヶ月はイギリスに残り、運試しをしてみようと思っている。

コースの友達は、3月、4月でケンブリッジを離れる人が多い。授業がなくなり、友達がいなくなってしまったケンブリッジの生活がどうなるのか、あまり想像したくない。何しろこれ以上にないほど素敵な1年半だったから!

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東郷 なりささん

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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第17回 卒業展まで残り2週間

Categories: アングリア・ラスキン大学 / アート&デザイン / 大学院留学

優秀な人材を輩出し続けるアングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin Universityのチルドレンズ・ブック・イラストレーション Children's Book illustration。同コースを卒業した日本人学生の中には、ニューヨーク・タイムズが選ぶ児童文学イラストベスト10に選ばれた方もいます。同コースに留学中の東郷さんの現地レポートをお届けします。


卒業展まで2週間

ロンドンで開かれる卒業展まで、カウントダウンという時期だ。わたし自身も、コース全体としてもまだ全く準備が調っておらず、さすがに焦り出してきた。まだパネルに飾る絵も選んでいなければ、会場全体のレイアウトも決まっていない。わたしは、これからサイドプロジェクトとして進めていた本の表紙を作り、その見本を学校で印刷して製本する予定だ。本当にあと2週間しかないのだろうかと疑いたくなる。

先日、お正月明けに提出した課題が返却され、無事に卒業制作にも単位が付いた。教授からのポジティブなコメント、そしてマスターの学位が取れることが確定し、とりあえず一安心だ。課題のフィードバック用紙の一番下に、教授が"It has been a great pleasure to have you as a student!"と付け足してくれていたのが、何よりもうれしかった。

そして課題とともに、ちょうど刷り上がって届いたばかりの卒業展カタログも受け取った。同時に卒業することになる、わたしたちフルタイムの学生20人と、3年前にコースをスタートしたパートタイムの学生17人の、合計37人分の作品とプロフィールが収録されているもので、ロンドンの展覧会への招待状とともに各出版社に配布する。

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卒業展カタログ。

わたしたちの代は、マットな紙に印刷したのでとてもよい雰囲気に仕上がり、みんな大満足している。こうして印刷されると、どの作品も本当にプロフェッショナルに見える!

ただこのカタログ制作費も、卒業展の会場費も、大学はまったくサポートしてくれず、すべて学生間で割り勘して払わなければならず、痛い出費だった。この投資がカバーされる実りある展覧会になればよいのだが・・・・・・。期待半分、不安半分に残りの2週間、がんばって制作と準備を続けたい。

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卒業展カタログのわたしのページ。カタログとともに業者が無料で名刺も100枚刷ってくれた。

◇◆◇ 宣伝 ◇◆◇
Children's Book Illustration Exhibition
Cambridge School of Art (Anglia Ruskin University)
Graduation exhibition 2012
ロンドンの本屋の4階と大学のギャラリーで行われる、卒業展のお知らせです。期間中に、もしロンドンかケンブリッジにいらっしゃる機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。
HP: www.cambridgeMAshow.com (残念ながら現在まだ作成中)

◆  The Gallery at FOYLES
     日時:2012年2月8日(水)~15日(水) 月~土曜 9.30am - 5pm, 日曜 11.30am - 6pm
     場所:Foyles Bookshop (3rd Floor), 113-119 Charing Cross Road, London WC2H 0EB
     HP: http://www.foyles.co.uk/Children-Illustration-Ruskin

◆  The Ruskin Gallery
     日時:2012年2月29日(水)〜3月15日(木)の平日、大学の開校時間に自由に見ることができる。
     場所:The Ruskin Gallery, Ruskin Building, Anglia Ruskin University, Cambridge Campus. 


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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第16回 卒業展間近の年末年始

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課題提出

あけましておめでとうございます。

冬至を過ぎて、日が暮れるのが毎日少しずつ遅くなっていくのが感じられる。それでもまだ朝は8時にならないと日が昇らない。

4日に卒業制作とそれを振り返えってのエッセイを提出した。なぜか卒業展のひと月前に採点のために課題提出があるので、途中段階のダミーブックを作り、原画もしばらく手放さなければならない。

このコースの場合、誰もが良い成績をとること以上に、卒業展の展示が仕事の契約と結びつくかどうかを気にしているので、これはゴール直前の通過点のような存在だ。


課題提出用に卒業制作 "Little Brown"を製本した。

クリスマス

今年のクリスマスは、ケンブリッジの家で、二人のハウスメイトを含め、帰国しなかった留学生と過ごした。卒業制作も最終段階で、お正月明け4日が課題提出日だったので、今年はケンブリッジに残った人や、ほんの数日しか実家に帰らなかった人が多かった。

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クリスマス前のケンブリッジの市場。
クリスマスツリー用の木やリース、ヤドリギなどは八百屋で売られている。

クリスマス当日はどこにも行く当てがないというクラスメイト二人も招いて、家でささやかな居残り組パーティーをした。ケンブリッジ郊外の村に住んでいる友達は、クリスマスはバスが動いていないのでタクシーに乗って来てくれた。ハウスメイトの一人がベジタリアンなので、とくにクリスマスらしいメニューにはしなかったけれど、それぞれが1、2品つくり豪華な食事になった。ミンス・パイも、せっかく買ったクリスマスプディングもあまりにお腹がいっぱいで開け損ねてしまったほどだ。

わたしは中華食材店で買った小豆をバターナット・スクウォッシュと一緒に煮てみた。こちらのクリスマスは家族や親戚が集まり一緒に過ごす時間だ。わたしもイギリスでの"家族"であるハウスメイトに囲まれて料理をし、ひたすら食べて、クリスマス気分を味わった。

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パーティーの準備中。スノーフレークを切り、風船を天井からぶら下げて、クリスマス気分を盛り立てた。

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大ご馳走を前にした一枚。

元旦

元旦は友達がボランティアをしていたギャラリーの運営委員のひとりが、わたしたち二人をお昼に招いてくれた。お家を訪ねると、居間は大きな本物の木のクリスマスツリーと、何十枚ものクリスマスカードで飾られ、暖炉には火が灯っていた。

日本では、クリスマスの翌日からお正月モードで、門松やしめ縄が街を飾るけれど、イギリスでは1月6日の公現節までの十二夜は、まだクリスマスを祝う期間内だ。大晦日のロンドンのカウントダウンと花火は有名だけれど、新年は特に独立したイベントではないようだ。クリスマスの飾りは公現節の日に片付けないと縁起が悪いのだ、と教えてもらった。

元旦のディナーもデザートにクリスマスプディング、最後にはクリスマスに食べる青カビチーズ、スティルトンとクラッカーが出てきた。思いがけずもう一度クリスマスを楽しんでしまった。1年半の滞在中に出会った友達やその知り合いのおかげで、季節のイベントや文化を体験できている。

ラストスパート!

課題提出後の一ヶ月は、卒業展に向けて、業者を使って絵本の見本版を印刷したり、ポートフォリオを作ったり、別のアイディアや小作品を用意したりする期間になる。本当にラストスパートだ!

キッチンのテーブルに未開封のまま鎮座しているクリスマスプディングを眺めながら、卒業展のお祝いに開けようかと話している。


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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第15回 留学を通して得たこと

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留学を通して得たこと

12月8日にあった卒業制作の最終評論会で、授業、チュートリアルがすべて終わってしまった。そうはいっても課題提出は1月初めで、ロンドンでの卒業展まではひと月半あるので、まだまだ作品づくりは続く。それにしても本当にあっという間の一年半で、留学生活が終わりに近づいているということがまだ認識できていないような気がする。

このコースでは、何か技術や知識を習ったというよりは、自分の作品や人の作品を見る目が養われた。チューターやクラスメイトの作品、彼らがわたしの作品に対して発したコメント、そしてスタジオで見た世界各国からの多種多様な絵本やイラスト、すべてのことに非常に刺激を受けた。

最近は作品を作っていると、この点に注意しろとか、この構図は・・・・・・というチューターや友達の声が聞こえてくる気がする。ここで知り合った仲間は、絵本を作るという目標を共有しながらも、バックグラウンドが異なり、まったく違うタイプの作品を作っているので下手に競い合う必要もなくお互いを助け合える。また留学生が多く、コースのためにはるばるイギリスまで来たのだという意識が、作品づくりに集中できる雰囲気を作っている。

日本の大学にいたころと異なり、バイトにも雑用にも煩わされず、講義すらもほとんどなくて、自分の時間をフルに制作に費やせたのが何よりも贅沢な環境だったと思う。

最終評論会

最終評論会で一通りクラスメイトの作品を見る機会があった。どの人も、出会ったころから作品が変わっており、格段に腕を上げたのが目に見えてわかり感動した。コースを通じて、自分の絵のアイデンティティ、自分を表現するのに一番よい技法である "ビジュアル・ランゲージ"を発見した人が多い。

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最終評論会の様子

チューターのアドバイスももちろんだが、クラスの仲間が使っている材料やテクニックにヒントを経て試してみたのが、作品の雰囲気にぴったり合った、という事が多かったようだ。わたしも卒業制作のバンの物語を通して、リノリウム版画と消しゴム判子を自分のメディアにできた気がする。

2月初めにある卒業展に向けて、それぞれ自分の絵本の見本版を印刷する。わたしのバンの物語は90%ほどできあがったので、年内に印刷できる形式に整える予定だ。長らく向き合ってきた作品が本という形にまとまるのは、ワクワクする瞬間だ。クラスメイトの作品を見るのも、とても楽しみにしている。卒業展の内覧会には、多数の出版社を招くことになっているので、卒業制作に一区切りをつけたら、この機会に最大限に自分をアピールできるよう、別のアイディアや小作品も準備したい。

すべての授業を終え、次の一大イベント、卒業展が待ち遠しいけれど、それをもって本当にこのコースが終わってしまうのだと思うと寂しい。

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最後の授業のあと、スタジオでミニパーティを開いた。イギリスのお菓子はどれもひたすら甘い!

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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第14回 マスタープロジェクト(卒業制作)

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マスター・プロジェクト

9月から最後の学期がはじまり、マスター・プロジェクトと呼ばれる卒業制作に入った。来年の2月初めに予定されている卒業展覧会に飾るメインの作品となる。多くの人が絵本という形にまとめることを目標としているが、ポストカードやポスターのシリーズを作るのでもよいことになっている。
 
今学期の授業は基本的には週に一度のチュートリアルしかなく、その他の日は、ひたすら個人で制作に打ち込んでいる。わたしはクラスの友人3人と住んでいるので、毎日お互いに進捗情報を聞いたり、作品を見せてアドバイスをもらったりしている。チューター以外に、制作過程を見守っていてくれる人がいるというのは、とてもありがたい。とくに長いこと同じ作品に取りかかっていると、人や動物のプロポーションや構図、雰囲気など、何がおかしいのか見えなくなってくる。3人の客観的な目に、わたしは何度も助けられた。一人で暮らしていたら、かなり孤独な日々になるところだった。

わたしの卒業制作は、バンという鳥の子育ての過程を示す絵本だ。この春にひと月近く巣を観察したデータと既存の文献を参考にした情報絵本だが、物語形式になっている。現実の鳥や自然に忠実であることを重視しながらも、物語にするうえで、子どもが感情移入したり、親しみをもったりできるイラストという微妙なバランスを保つのが難しい。教授のアドバイスをもとに、リノリウム版と消しゴム判子で制作することになった。ようするに版画だ。

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卒業制作の絵。
刷ってみるものの、必ずどこか気に入らない部分があり・・・・・・。
簡単にやり直しができないのがこのメディアの難点だ。

プリントメイキング・スタジオ

学校のプリントメイキング・スタジオで、オイルベースのインクをパレットナイフやローラーを使って広げ、プレス機で印刷をしていく。印刷のプロセスは、刷りあげるまでどんなイメージを作っているのかはっきり見えないところが、おもしろくもあり難しくもある。印刷の行程次第で絵の雰囲気が全く変わることもある。一枚刷るまでに非常に時間がかかり、また試行錯誤をしながらなので、すでに締め切りの日をにらんで焦っている。

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半地下にあるプリントメイキング・スタジオ

この大学のプリントメイキング・スタジオは、かなり設備が整っている。わたしはリノリウム版しか試したことがないが、エッチングからリトグラフ、シルクスクリーン、ドライポイント、タイポグラフィーなど大概何でもできるようだ。A2サイズ、A1サイズが印刷できるプレスが数台あり、フィルムを感光する機械もある。基本的にはプリントメイキング・コースの学生が使うスタジオだが、毎日、数時間ずつオープンアクセスの時間があり、わたしのコースの学生や学部生も作業をしに来ている。このスタジオで作業をしていると、いろいろなコースの学生と会話をする機会があるのも良い。ただ使える時間が限られており、いつもかなり混み合っていて、自分の場所を確保するのが一苦労なのが玉に瑕だ。

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もうすでに11月。スタジオが閉まるクリスマス前までに、どこまで仕上げられるのか、ちょっと心配になってきた。

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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第13回 留学生活1年を振り返って

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留学生活1年を振り返って

渡英してから丸1年になる。1年を無事に過ごした記念に友達と2人で、ケンブリッジから5キロほど離れたグランチェスターという村まで歩き、お茶をしてきた。こちらに来て最初の日曜日に2人で出かけた場所だ。1年の間にわたしの英語も少しばかり上達し、様々なことを共有し、友達といろいろなことが話せるようになった。ここでロビン・フッドの話をしたよね、このテーブルに座ったね、などと、1年前のお茶の時間を昨日のことのように思い出した。

 
東日本大震災チャリティ展覧会

この9月は東日本大震災からちょうど半年という時期でもある。わたしが在籍するChildren's Book Illustrationコースの学生、卒業生、チューターでTAYORI: Postcards for Japan という地震と津波の被害にあった子どもたちを支援するためのチャリティー展覧会をケンブリッジ市内のカフェで開いた。それぞれが1~3枚のポストカードサイズの絵を描き、それを展示しつつ販売するというものだ。ロイヤル・アカデミー・オブ・アートが毎年開いているRCA Secretというポストカード展を参考に、アーティスト名は表に出さずに展示したので、すでに有名になっている人の作品も、学び始めたばかりの学生の作品も同条件で、買って裏をみるまでは誰の作品かはわからないようにした。

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展示されたポストカード

このすばらしい案を思いつき、会場を決めるところから、セッティングまでパートタイマーの学生ベッキーと数人の仲間がやってくれた。わたしも日本人として、もう少し手伝えればよかったのだが......。タイトルのTAYORIを考え、ポストカードを2枚描く以外にあまり貢献できなかったのが心残りだ。

全部で62人のアーティストによる127枚のポストカードが集まった。初日の内覧会は非常に盛り上がり、その場で定価の20ポンドから競りも行われた。人気のある絵はより多くの支援金を集められたわけだ。この内覧会で75枚ほどが売れたらしい。展示はその後5日間続き、絵の販売自体はインターネットを通じて9月26日まで続ける予定だという。いまのところ84枚が売れて1800ポンドほどが集まったと聞いた。このお金はすべてTeachers for Japanという震災後に宮城県で教えていたALTが中心となって立ち上げたNPOに寄付をする。宮城県とその周辺県で両親や家を失った子どもの教育継続や、学校の再建に当てる支援金を集めている団体だ。

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チャリティ会場の様子

コースの特色、卒業生やチューターのネームバリューを活かして、わずかながら地震で被害にあった人のことを考え、支援できるとてもよいイベントになった。とくに日本と直接の関係のない学生やチューターが先頭に立って、これだけ大きな企画を実行してくれたことに、わたしはとても感動した。

日本を思って描かれた127枚のポストカードはこちらのサイトにアップロードされているので、よかったらご覧ください。
http://www.postcardsforjapan.co.uk/


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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第12回 新居での生活

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新居での生活

22時まで明るかった夏至の日からひと月半ほどがたち、21時には日が暮れるようになり、寂しい思いをしている。

新しい家に引っ越してから、ひと月以上がたったことにもなる。怒濤の家探しの結果、最終的にわたしたちが選んだのは、食料品店の二階にある家で、小さいながら内装は新しく快適なところだ。キッチンとバスルームに、小さな部屋がふたつと、大きな部屋がひとつあり、大部屋はふたりがルームシェアをすることになった。基本的に3人用の家だったため、4人で住むにあたり、いくらか大家との交渉が必要だった。何しろはじめ、3人で住む場合より155ポンドも上乗せで家賃を払えと言われたのだ。運良く値切ることに成功し、よい立地にあるよい状態の家を手頃な価格で借りることができた。友達のひとりが休暇中ずっと実家に帰っているので、いまは3人が3部屋で暮らしておりとても快適だが、4人揃ったらどうなるのか、ちょっと心配ではある。

玄関を入るとキッチンで、その他の部屋は2階にある
玄関を入るとキッチンで、その他の部屋は2階にある

3部屋しかないにもかかわらず、その他の候補物件をやめてこの家に決めた大きな理由のひとつは、大家とわたしたちの間にエージェントが介在せず、借りやすかった点だった。エージェントを通して借りる場合、いろいろな名目で仲介料をとられるだけでなく、保証人を立てるか、最短契約期間分の家賃を全額前払いしなくてはならないことが多い。わたしたち4人は全員がインターナショナルスチューデントなので、イギリス国内に住む保証人がおらず、6ヶ月分の家賃全額を一括で払うのもかなり大変だった。大家と直接やりとりできると、契約が簡便で、価格や条件の交渉もしやすいというメリットがある。

引っ越しの荷造りをしながら自分の持ち物の量に唖然とした。昨年9月に渡英した際は、大小のスーツケースひとつずつと、送った荷物を少ししか持っていなかったはずなのに、いつのまにこんなに物持ちになってしまったのだろうか。何よりも本とスケッチブックが増えた。以前のハイスメイトが実家に帰るのでいらなくなったという台所用品や食品を大量にくれたこともある。幸い、バードウォッチャーの知人が車ですべて運んでくれたので事なきを得たが、足で往復しなければならなかったら、どうなっていたことやら。それでも、おかげで台所用品や調味料などをほとんど買わずに新生活を始められた。

日本と違って家具つきで家が借りられるのはとてもありがたい。冷蔵庫や洗濯機、コンロにオーブン、ダイニングテーブル、洋服ダンスやベッド、掃除機などはすべて揃っており、生活を始めるにあたって大きなものを買う必要はなかった。ただ、なぜか大家がわたしの小さな部屋にもダブルベッドを入れてくれたために、使えるスペースが非常に狭くなって困った。ここに机を入れたら、歩き回る場所すらなくなってしまう。そこで、ベッドのマットレスをどけて、フレームの上に大きな板をのせて座卓に改造してみた。ダブルベッドサイズのワーキングスペースならどんな絵でも描ける!内装が新しいので家全体を土足禁止にすることにして、ほとんどコタツに布団の日本的生活だ。

ダブルベッドを改造したわたしの机
ダブルベッドを改造したわたしの机

友達との暮らしはとても快適で楽しい。ふだんはみんな黙々と自分のプロジェクトに打ち込んでいるが、気が向くとキッチンでしゃべったり、夜に一緒にパソコンで映画を見たり、作品を見せ合って意見交換したりしている。コーヒーをいれに入ったはずが、自給自足を推進すると交易が少なくなり閉じた共同体ができてしまうのではないかとか、愛する人と愛される人のどちらが強いかとか、友達との距離についてとか、深い内容の会話に発展することもある。おたがいバックグラウンドがまるで異なるので、共通する考えや全く違う部分が発見できておもしろい。知識や考え、絵の描き方や画材、料理、食材、本等々、一緒に住んでいるからこそ"場"を設けなくてもいろいろ共有できる。

インド人の友達がチャパティをご馳走してくれた
インド人の友達がチャパティをご馳走してくれた

今朝このエッセイを書いていたら、クレープを作ったから食べてみてと友達が部屋まで持ってきてくれた。夜遅くに探鳥会から帰ってきたときは、ちゃんと帰ってくるか心配だったから、とキッチンの明かりをつけて待っていてくれた。留学生活に家族ができたようで、本当に安心して暮らせている。

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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第11回 夢が実現!

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イギリス人野生動物画家ジョン・バズビー氏に会いに

前回の体験談を書き上げた翌日、新しい家の契約手続きすべてを友達にお願いして、一週間のスコットランド旅行にでかけた。8000語のエッセイを書いていた際に、わたしが尊敬するイギリスの野生動物画家のひとりジョン・バズビー氏のアドレスを偶然に見つけ、思い切って手紙を書いてみたところ、幸運にもお会いできることになっていたためだ。

イギリスへの留学を本気で考えはじめたころ、サンダーランド大学で環境イラストレーションを学ばれた神戸宇孝さんにお会いし、学校の課題で描かれた作品やイギリスから持ち帰られた画集などをたくさん見せていただいた。イギリスの野生動物画家の作品を集めた本をめくるなかで、わたしが必ず手を止めて見とれてしまうのがジョン・バズビー氏の作品だった。イギリスに来てからは、オンラインサイトで簡単に安く本が買えるので、荷物を増やせば帰国する際に困るとわかっていながらも、バズビー氏の画集や著作を何冊も買ってしまった。8000語のエッセイを書くにあたっても、鳥の絵に対するバズビー氏の見方をとても参考にしていたので、いつか直にお話を聞いてみたいと思っていた。

イギリスにいられるのはあと一年もなく、この夏を逃したらお会いする機会はないかもしれないと考え、思い切って手紙を出してみた。学生という特権を利用してあちこちの現場に出かけ、第一人者に話を聞いてみるべきだというのは、農工大学時代に野生動物関係の活動をするなかで先輩や同輩から学んだ姿勢だ。投函して数日後に、お返事のメールをいただいたときのうれしさは忘れられない。英語にはいわゆる敬語表現がないので、こういう少々フォーマルなやりとりをする際、自分が書いている言葉使いが礼儀に適っているかどうか不安になる。ともかく最大限の努力をしてメールを交わした結果、6月に海鳥を描くコースがあるので、期間中の夕方に訪ねれば、参加している他のアーティストにも会え、コースでみんなが描いた絵も見られるというので、それに合わせて出かけることにした。

6月23日の夕方8時、恐る恐る指定されたホテルに入ってみると、まだコース参加者とお食事中で、わたしもテーブルに交ぜていただいた。とてもアットホームな雰囲気で、どの人も気さくに話しかけてくれたのでありがたかった。その後、ラウンジに移り、コース参加者がその日の成果を見せ合う時間になった。同じ風景、海鳥をいろいろな画家がそれぞれのスタイル、画材で描いた絵が見られ、さらにその作品に対するバズビー氏のコメントを聞くことができるという、またとない機会になった。本や画集は日本で買えても、直接お話を聞くことは、イギリスに来なければできない。

あこがれのメイ島へ

Ms_togo_Jul-1.jpg イカナゴをくわえたニシツノメドリ
あこがれのメイ島                         イカナゴをくわえたニシツノメドリ

スコットランドに行ったもうひとつの理由は、繁殖しているニシツノメドリを見ることだった。海鳥研究で有名なフォース湾沖に浮かぶメイ島に上陸するボートツアーというのも見つけて、参加してみた。メイ島は自然保護区としてスコットランド自然遺産局により管理されている小さな無人島で、一般の人は基本的に数時間しか滞在できない。運よく晴れた朝、防水用の服を着込み、12人乗りのゴムボートで島に向かった。海上にはシロカツオドリ、ニシツノメドリ、ウミガラス、オオハシウミガラスが飛びまわっていた。ニシツノメドリはナデシコ科マンテマの花畑のなかに巣穴を作っている。わたしが訪れたときは、イカナゴをたくさんくわえて中に入っては、またエサをとりに出て行っていた。まさに夢の島だった!

イギリスに来たらやりたいと思っていた夢がふたつも叶い、夏休みを満喫している。それもこれも、面倒な契約手続きを引き受けてくれた友達のおかげだ。

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東郷 なりささん

東郷 なりささん

留学先:アングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin University
留学分類:大学院留学
専攻名:チルドレンズ・ブック・イラストレーション MA Children's Book illustration
留学期間:2010年9月〜2012年1月
beoの留学サポートを利用して留学。個人ブログ「クイナ通りSoi17」では作品を随時更新中

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第10回 部屋探し

Categories: アングリア・ラスキン大学 / アート&デザイン / 大学院留学
優秀な人材を輩出し続けるアングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin Universityのチルドレンズ・ブック・イラストレーション Children's Book illustration。同コースを卒業した日本人学生の中には、ニューヨーク・タイムズが選ぶ児童文学イラストベスト10に選ばれた方もいます。同コースに留学中の東郷さんの現地レポートをお届けします。

留学生活2年目、大学所有の家を出る

6月末でいま住んでいる大学所有の家を追い出される。学生数の割に大学が持っているアコモデーションの数が限られているせいもあり、基本的には2年目以降の生徒は自力で住むところを確保しなければならないようだ。しかも学校のアコモデーション・オフィスは、民間運営の部屋や家を探すサポートをしてくれるわけではまったくない。

ケンブリッジでは、3部屋、4部屋の家が最も多いので、ほとんどの学生は居住時期が同じ友達同士でグループを組み、家一軒を借りてシェアしている。もちろんシェアハウスの1部屋を探すことも可能で、実際に友達ができる前の最初の一年は、イギリス人もみんな知らない人同士で住んでいる。でも、どんなハウスメイトにあたるかは運次第になるので、気の合う仲間でグループを作った方が生活は保障される。わたしは仲のよいクラスの友達3人と夏以降は一緒に住もうと約束していたので、5月頭から4人で住める家を探し始めた。そしてこれが非常に難航している・・・・・・未だに契約に至っていないのだ。

ケンブリッジは学生の数がとても多く、アコモデーションは常に不足気味だ。学期が終わるこの時期は引っ越す学生が多いので、家探しには一番良いはずなのだが、一方で多くの学生が次年度の住まいを求めているので競争率も高い。どこも基本的には早い者勝ちで契約できるかどうかが決まるので、すべてのプロセスが倍速、三倍速かと思うような速さで動いている。留学生ばかりのわたしたちは、ここでのハウスハンティングのやり方を学ぶまでに、けっこう時間を費やしてしまった。

手数料を払って不動産屋を通して借りればもう少し楽なのかもしれないが、無駄なお金を払いたくない学生はインターネットで情報を探し、直接大家にコンタクトを取っている。Gumtreeやrightmoveといったサイトを定期的に見て、自分たちの条件にあった物件があれば電話をして、部屋、または家を下見するアポイントをとる。月£1500前後の高い物件はそれなりに数があるのだが、安くて、大学や駅からあまり遠くなく、許せる程度の大きさがある家はなかなか見つからない。とくにわたしたちは、あと半年しか授業がないため、最短契約期間が1年未満のものを探さなければならず苦労している。しかもよい物件には、最初の下見の機会に5グループ前後はかならず集まるし、下見後、数分から1時間以内でだいたい誰かに抑えられてしまう。つまり早い日付・時間の下見のアポイントを取ったグループが最もその家をゲット出来る可能性をもっている。サイトにアップされてから2日以上経った物件は、下見の機会すら得られないことが多い。だから毎日そわそわと、何回もサイトをチェックする羽目になった。そして下見後にそこで良いと思ったらその瞬間に電話しなければ、他のグループに取られてしまうので、別の日に下見を予約した他の場所とどちらにしよう、などと比較している余裕もない。常に一件一件に対してTake it or leave it と選択を迫られるのだ。最初はサイトに書かれているメールアドレスに連絡していたのだが、メールやネットからの送信フォームは見てもらえるのが遅く、無視されることも多い。ハウスハンティングには、携帯電話をしっかりトップアップしておくことが重要らしい。

ケンブリッジにいてもこれだけ苦労しているのだから、日本から家を探そうと思ったらかなり厳しそうだ。大学所有のアコモデーションを一年生のために空けてあるというのもうなずける。ケンブリッジの街中であれば、4部屋の家は、水道代や電気代抜きでひと月£1200から£1500が相場のようで、大学が提供してくれる部屋のほうがよほど安く条件が良い。書類1枚でここに入れたのは本当に幸運だったと実感した。

6月末にはいまの場所を追い出されるということで、タイムリミットが近づき不安にもなってきた。でも幸い、いまのハウスメイトの友達が、契約期間の関係上、8月半ばまで空き部屋を持っていて、困ったらしばらくそこに住めばよいと言ってくれている。クラスの友達も、荷物を置かせてくれるというので、ホームレスを免れる手はずは整えた。学生の町なので、困ったときには助けてくれる人も多い。「落ち着いて、落ち着いて。何とかなるよ。あんまりイライラしたら老けちゃうよ」とハウスメイトは慰めてくれる。

と、ここまで書いたところで、本日、無事に7月から入れる家を決めることができた! あとは契約手続きに問題がないことを祈るばかりだ。

もうすぐお別れになってしまう現在のハウスメイトたちと、二度目にしておそらく最後のディナー
もうすぐお別れになってしまう現在のハウスメイトたちと、二度目にしておそらく最後のディナー

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東郷 なりささん

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留学先:アングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin University
留学分類:大学院留学
専攻名:チルドレンズ・ブック・イラストレーション MA Children's Book illustration
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アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第18回 卒業展

アングリア・ラスキン大学で絵本アートを学ぶ 第9回 8000語のエッセイ

Categories: アングリア・ラスキン大学 / アート&デザイン / 大学院留学
優秀な人材を輩出し続けるアングリア・ラスキン大学 Anglia Ruskin Universityのチルドレンズ・ブック・イラストレーション Children's Book illustration。同コースを卒業した日本人学生の中には、ニューヨーク・タイムズが選ぶ児童文学イラストベスト10に選ばれた方もいます。同コースに留学中の東郷さんの現地レポートをお届けします。

2学期の二つ目のモジュールは8000語のエッセイ

なんとか8000語のエッセイをやっつけた!

今期の後半は、イースター休暇も含めて、エッセイを書くためにずっと引きこもり状態だった。ここひと月ちかく、日中は20度を超えてTシャツで十分なほどの陽気がつづいていたので、友達と川沿いの公園でピクニックをしようと話していたのに、誰もそんな余裕はなく、とうとう実現しなかった。

2学期の二つ目のモジュールは、絵本やイラストに関わる内容でテーマを選び、それに関して研究をして6000−8000語のエッセイを書くというものだった。Dissertationとは呼ばれてこそいないけれど、修士論文的な位置づけのエッセイだ。ただテーマは自分の作品に何かしら関係がある題材でなければならず、エッセイに書く内容も、ただ学術的に調べた内容を書くだけではなく、テーマと自分との関わり、自分の作品についての言及、研究成果をどう自分の作品に活かすかといった、自己分析を含まなければならない。

わたしは自然科学をテーマにした絵本について書き、自然をどの程度正確に、リアリスティックに描くべきか、ということについて考察した。題材となる絵本を探すのが大変で、市の図書館や書店の児童書コーナーに座り込んだり、子どもの本を扱う古本屋をのぞいたりもした。

もちろんケンブリッジ大学の中央図書館にも、絵本は揃っており、いくつか閲覧してきた。アングリア・ラスキン大学の在籍証明と住所が確認出来るものがあれば、図書館のカード(顔写真入り!)を発行してくれる。ただ本を借りることはできない。館内に入ると本の重みを感じた。立ち並ぶ古い本、静けさに、入っては行けないところに迷い込んでしまったような、後ろめたさを感じる。廊下の窓沿いに置かれた机で本を読めば、学者か作家にでもなったような気分だ。ほとんどの本は書庫にあるので、データベースの中から読みたいものを探しリクエストを出す形になっている。それぞれの本がある部屋のカウンターにリクエストの紙を出すと、数十分から一時間で用意してくれた。本は種類によっては館内持ち歩き自由で、読み終わった後はどこかの机にのせておけばよいようだが、一部はその部屋からも持ち出せず、写真も撮れない。ここを使いこなせるようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

ケンブリッジ大学の図書館に入った証拠品!
ケンブリッジ大学の図書館に入った証拠品!

エッセイを書くモジュールに入ってから、クラスメイトに会う機会がめっきり減ってしまった。エッセイは互いの進歩状況を見せ合うというものでもないし、チュートリアルはメールでアポイントをとる形式だったので、スタジオで出会う機会も限られてくる。このモジュールで、友達がなにをやっていたのか結局わからずじまいだった。実技以外の専攻を学んでいる人は、年中こんな感じなのだろうか。自分の作品づくりを通してだけでなく、クラスメイトの制作過程をみたり、それに対するチューターや友達のコメントを聞いたりすることが大きな刺激になっていたので、こうも個人作業だとちょっと物足りなさを感じた。

ハイイロガンの親子。繁殖期まっただ中にエッセイを書いていたのがくやしい。
ハイイロガンの親子。繁殖期まっただ中にエッセイを書いていたのがくやしい。

8000語の文章を書き、まとめるのには相当苦労した。英語で思考し、自己分析をするだけの語学力がまだないので、のろのろと英文を作っていくうちに、自分が何を言いたかったのかわからなくなってくる。日本語で書いているときのように、できあがった文章をスクロールして、どこで何を語ったかを瞬時に目で確認したりもできないので、何日もかけて長々と書いているうちに、重複する内容が点在してしまったりもする。考えるという作業は、多分に言語力に依存しているのだと感じた。

最後の数日、まだ苦戦中というメールを友達に書きおくったら、「いまから月曜日の提出時間までの間に何かしてほしいことがあったら、なんでも、どんなことでも手伝うから言ってね!」などと言ってくれて、とてもうれしかった。イギリス人のハウスメイトも文法やスペルミスから、引用情報が抜けている部分まで、通しで読んでチェックをしてくれた。本当にいろんな人に助けられている。

そして無事に今期すべての課題の提出を終えた今日から、すでに夏休みだ。次の授業は9月半ば。これまで一度だって休みが長いと文句を言ったことなどなかったけれど、4ヶ月はちょっとどうしよう、と思ってしまう長さだ。

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